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プリント基板の基板設計について,役割や工程を解説します!

回路設計 電子基板

こんにちは!この記事では、プリント基板の基板設計について解説します!

基板設計って?回路設計と基板設計はどう違う?

基板設計と聞くと、電子基板の開発についてご存知ない方は、電子基板の設計そのものに思うのではないでしょうか?
電子基板の開発を行う業界において、基板設計は、回路設計した後の、プリント基板の配線の設計のことを指します。

電子基板開発では,まず最初に,回路設計から始まります。回路設計ではまず、どの部品のどの端子同士を電気的に接続するかを決定します。しかし,回路設計では接続を決めるだけなので、物理的な配線は決めません。その物理的な配線を決めるのが、基板設計です。プリント基板(PCB)は、ガラスエポキシ製の板の上に銅線をプリントしたものです。その銅線の引き回しを決めるのです。

図のように、まずは回路設計を実施します。ここではどの端子同士を接続するかのみ決めます。

(回路設計図面のイメージ)

次に基板設計を行います。下の図が基板設計した結果です。部品のサイズや位置、銅線の引回しや太さが正確に描かれています。この図面データをガーバーデータと呼びますが、プリント基板はこのガーバーデータを元に製造されるのです。

(ガーバーデータをPDF化したもの)

基板設計はパターン設計とも呼びます。配線をパターンとも呼ぶためです。また、アートワークとも呼ばれます。基板設計の配線を引回している姿は絵を描いているようにも見えるため、アートワークと呼ばれるようになりました。もし、電子機器の設計を協力会社へ依頼したとき、見積書に「AW」と書かれていたら、アートワーク、すなわち基板設計のことです。

基板設計の手順

ここでは、基板設計の手順を紹介します。
1 基板のサイズ(外形)を決める。
2 電子部品の配置を決める。
3 基板の層数を決める。
4 端子同士の配線を繋げていく。
5 GNDをベタ塗りしていく。
6 完成図を回路設計エンジニアとレビューする。
7 ガーバーデータを出力する。

1 基板のサイズ(外形)を決める。

まずは、基板の外形を決めます。外形は、基板を取り付ける筐体(ケース等)に大きく依存します。このフェーズでは、筐体設計者と回路設計者と基板設計者が集まって議論します。
筐体設計者からは、「この20cm四方のケースに入れたいから、基板サイズは180mm×180mmです」「取り付けのためのネジ穴は、四角(よすみ)のこの位置です」などの指示がでます。基板設計者はその通りに設計しますが、「その基板サイズでは小さすぎて部品が乗り切らないよ」などの意見がでることもあります。

2 電子部品の配置を決める。

基板外形が決まれば、次は電子部品の配置を決めます。この配置次第で配線の引回しやすさが決まるため、重要なフェーズです。配置によって電気的な特性が変わることもあるため、回路設計者のレビューを実施してから次フェーズに移ります。具体的には、「この二つの部品が離れると信号品質が落ちるので、もう少し近づけて欲しい」などの意見が出ます。通常は回路設計者から基板設計者への指示書が事前に渡されるため、このフェーズでは微調整レベルです。

3 基板の層数を決める。

部品配置が決まったら、基板の層数を決めます。ベテランエンジニアは、部品配置前には「このボリュームなら、4層くらいだろうな」と直感的に想像済みですが、明確に決まるのはこのタイミングです。
基板の層数について説明します。銅線は絶対にクロスしてはいけません。異なる電気線がショートしてしまいます。しかし、銅線を引く層が1層しかないと、クロスせずに引き回すことが困難です。地下鉄が増えてくると同じ深さだけではぶつかってしまう問題が起きるのと似ています。そこで、銅線を引く層を複数用意します。層数が多いほど、小さな面積にたくさんの銅線を引き回すことができます。その反面、プリント基板の制作費用が上がります。可能な限り少ない層数で設計することがポイントです。

4 端子同士の配線を繋げていく

次に,端子同士の配線をつなげていきます。まさに銅線の引回しです。複数層ある場合は、層を変えたりして、銅線同士がクロスしないように引き回していきます。引く層を変えるときは、「ビア」を打ちます。ビアとは、基板に小さな穴をあけて、穴の内側に銅を塗ったものです。すべての層に銅が塗られるので、ビアを通じて配線の層を移動します。
ビアの写真を入れる。

5 GNDをベタ塗りしていく

配線が終わったら、GNDをベタ塗りしていきます。GND(グランド)とは、いわばマイナス極のことで、電位が0Vになる銅線部分です。GNDにはすべての電流が集まります。想像していただきたいのですが、細い線に大電流が流れると危険な感じがしませんか?太い線にした方が安心感がありますよね。そのイメージどおり、すべての電流が集まるGNDは大きく取った方が、基板上の電気が安定します。そのためにGNDを広く取るために銅箔をベタ塗りします。信号線の回りをGNDで囲うと、シールドのような効果が得られ、電気信号にノイズが発生しにくくなります。

6 完成図を回路設計エンジニアとレビューする

基板設計は電気的な特性に大きく影響するため、回路設計エンジニアとレビューを行います。
弊社の回路設計エンジニアの一人は、以前パソコンの回路設計が専門でした。パソコンはあらゆる機器の中でも最高の通信速度で動作するため、電気の伝わる速度が無視できず、配線の引回し方で電気特性が大きく変わります。その経験から、基板設計へのレビューを徹底的に実施します。弊社の回路設計エンジニアは全員基板設計に精通しており、設計者同士で徹底的なレビューを行います。

7 ガーバーデータを出力する

最後にガーバーデータを出力します。ガーバーデータは基板設計の最終成果物です。このデータを元にプリント基板が製造されます。

【最後に】総括

いかがだったでしょうか?まだまだイメージがわかない方もいらっしゃるかもしれません。プリント基板設計は、回路設計の成果を最適化し、効率的な製品実現へと導く重要なプロセスです。このブログでは、基板サイズの決定から配線端子の設定まで、PCB設計の重要なステップを明確に解説しました。アイザシステムズは、この複雑なプロセスを総合的にサポートし、高品質な電子基板の開発を可能にします。
アイザシステムズでは,回路設計から基板設計,基板製造,試験・評価まで一貫した開発を行っております。お客様が求める電子基板をノンストップで一貫して行うことが可能のため,お求めの方は是非弊社までご連絡ください!

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